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協会長就任にあたって(所信)

~積極的な社会的役割の発揮を通じて、超高齢社会を支えていく~

生命保険協会 会長 根岸 秋男

一般社団法人 生命保険協会
会長 根岸 秋男

我が国は世界に類をみない超高齢社会を迎えております。平成28年版高齢社会白書によると、75歳以上人口は足元の1,641万人から、団塊世代が全て75歳以上となる2025年には2,179万人に大きく増加すると言われており、長寿国のフロントランナーとして、豊かで健康な老後生活を送ることができる社会を築いていく必要があります。

超高齢社会の進展を背景とした社会保障給付費の増大により、現役・将来世代の負担が大きくなることが見込まれるなか、官民一体となって社会保障制度を支えていくことが重要であり、私的保障による自助の重要性がますます高まっていると認識しております。生命保険協会では、今年の2月、新たな私的年金制度として「長寿安心年金」を提言いたしましたが、今後も、社会保障制度の議論へ適切に対応してまいります。

生命保険事業は、私的保障の提供を通じて公的保障を補完するとともに、保険金・給付金の確実なお支払により国民の生活基盤を支えるという社会的役割を担っております。高齢のお客さまに対しても、こうした社会的役割を通じて安心をお届けするために、生命保険業界としてサービスの向上に努めてまいりました。一方で、超高齢社会の進展に伴う高齢者の独居・施設入居の増加を背景に、高齢のお客さまの安否や所在の把握がますます困難になることが懸念されます。今後、生命保険業界が社会的役割を一層発揮するために、創意工夫しながら主体的に取り組んでいくことが重要であると考えております。

生命保険協会はこれまでに、高齢者対応、社会保障、保険教育、消費者目線に立った消費者志向経営、成長戦略、国際競争力強化と、生命保険業界に関連する主な課題に対して継続的な取組みを実施してきました。この1年においても、中長期的な視点に立ち、これまでの取組みを継続し、一層推進するために、以下の活動について重点的に取り組んでまいります。

1. 高齢者に配慮した取組みの推進 -「番号制度の民間利活用」への提言-

生命保険協会では、これまでに高齢者対応として、2013年に高齢者対応の取組み事例を分析した報告書を公表したほか、2014年には高齢者向け情報冊子を作成し、自主的な取組みを促すガイドラインを制定する等、会員各社の高齢者対応を後押ししてまいりました。

これまでの取組みを通じて、生命保険業界の高齢者対応は高度化されてまいりました。一方で、超高齢社会で生じる安否・所在の把握が困難になるといった課題を克服し、これからもお客さまに安心をお届けしていくために、高齢者に配慮したサービスの更なる向上が必要であると認識しており、そのためには「番号制度の民間利活用」が有効な対策のひとつになりうると考えております。番号制度の利活用を通じて高齢のお客さまの状況を正確に把握することが可能となれば、より迅速・確実に保険金・給付金をお支払することができるようになります。会員各社が高齢者対応の高度化を更に進める手段のひとつとなる「番号制度の民間利活用」の早期実現に向けて、主体的に提言してまいりたいと考えております。

当該提言をはじめとした会員各社の高齢者に配慮した取組みの推進を通じて、超高齢社会における一層の社会的役割発揮に向けて取り組んでまいります。

2. 生命保険事業に対する理解の普及促進 -保険教育の継続推進-

近年、持続可能な社会保障制度の構築に向けて、自助の重要性は高まっている一方、若年層の保険加入率は低下傾向にあります。

そのような現状をふまえ、生命保険協会では、保険教育の現状把握と課題整理についての報告書を今年の4月に公表し、社会保障教育と併せた保険教育機会の拡充等を要望いたしました。

学校教育の段階から、公的保障を補完する私的保障の必要性および保険の役割について学ぶ機会を設け、自助による将来への備えに対する理解促進を促すことは、社会保障制度の持続可能性を高めるうえで重要と考えております。

現在、次期学習指導要領について検討が進められておりますが、生命保険業界として、保険教育推進の観点から積極的に意見発信をしてまいります。

また、先の報告書では、保険教育を推進するにあたり、保険を教える教師に対するサポート強化等が課題と認識しており、そうした課題の解決に向けて、生命保険文化センターと連携をとりつつ、学校教育現場での保険教育機会の拡充に向けた取組みを引き続き検討・推進してまいります。

3. 生命保険事業の基盤整備・高度化 -消費者志向経営の支援 等-

生命保険事業の基盤整備・高度化に向けた取組みについて、継続して推進してまいります。

消費者に関する取組みについては、意向把握義務・情報提供義務といった保険募集の基本ルールを定めた改正保険業法が今年5月に施行されたことを受け、会員各社の適切なお客さま対応が進むようにフォローしていきます。また、金融ADR制度の適切な運営、せいほ意見交換会の開催や生命保険協会に寄せられる意見等の集約・分析を通じて、会員各社の経営に外部の意見を生かす取組みを引き続き実施し、会員各社による消費者目線に立った「消費者志向経営」を支援してまいります。

税制に関しては、生命保険料控除制度の拡充等、国民が必要とする私的保障の準備に対する支援・促進を中心に継続して要望してまいります。

国際会計基準や国際的な金融監督・規制の在り方等については、積極的な意見表明をすることで、生命保険業界の国際競争力強化に貢献してまいります。

政府の成長戦略に関連して、スチュワードシップ・コードやコーポレートガバナンス・コード等をふまえた株式価値向上への取組みや健康寿命延伸に役立つ健康増進イベントへの協賛を継続し、今年度策定する社会貢献活動に関する新たな3ヵ年計画の中でも、引き続き女性活躍推進に資する活動を検討してまいります。

その他、郵政関係では、今年4月からかんぽ生命の加入限度額が一部引き上げられておりますが、公正な競争条件の確保や適切な態勢整備がなされない限り、かんぽ生命の業務範囲の拡大や加入限度額の引き上げ等について容認できないというスタンスに変わりはございません。引き続き各方面の動向を見極めつつ、必要に応じて意見を表明してまいります。

以上、協会長就任に際し、所信の一端を申し述べました。

今年の4月に熊本県・大分県を中心に大きな被害をもたらした地震に対して、生命保険業界では、会員各社が一丸となって様々な対応を行ってまいりました。引き続き、被災された方々が一刻も早く通常の生活を取り戻されるように支援してまいりたいと考えております。今回の地震や東日本大震災等の自然災害への対応のなかで、我々生命保険業界は保険金・給付金の確実なお支払いを通じて国民の生活基盤を支えるという生命保険事業の社会的役割の大きさを再認識し、お客さまの期待にお応えできるよう努めてまいりました。

これからの1年は、主要な課題に対するこれまでの取組みを継続推進しながら、超高齢社会を支えるために、積極的に社会的役割を発揮してまいる所存です。全力で取組んでまいりますので、一層のご支援・ご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

以 上

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