エッセイ入選


2000年エッセイ・入選

『産まれてくる可愛いあなたへ』

京都府 西村真紀さん
31歳 (主婦)

  本棚を整理していると、一通の手紙が出てきた。封筒には、「産まれてくる可愛いあなたへ」と書かれている。
 現在、二才半になる娘を妊娠し、出産を間近に控えていた時のものだ。今、読んでみると恥ずかしいものなのだが、その時は真剣で、万が一出産で私が死んだ時のことを考え、「お父さんがあなたを守ってくれるから安心して。お母さんも天国から見守っているから大丈夫よ」という内容だ。
 夫婦二人の時は、保険は主人にかけるもの、という考えで、私はあくまでも残される側であると思っていたが、子どもが産まれてからは違った。わずかな掛金だが、私も生命保険に入ろうと考えた。
 残された者のために、私は何が出来るだろう。子どもを育てていくのに、少しでも主人の助けになれば…。
 人それぞれ理由はあるけれど、"守りたい人がいる"それが、私が生命保険に入る最大にして最高の理由だ。