エッセイ入選


1997年エッセイ・入選

『天使のくれた三年間』

福岡県 金沢エミさん
27歳 (主婦)


  ニ年前、二女を病気で亡くしました。生後四ヵ月の時に突然意識を失くし、救急車で病院に運ばれました。検査の結果、脳腫瘍と診断され、即入院、関頭手術となりましたが、腫瘍は悪性で摘出は困難でした。
 その日から娘の闘病生活が始まりましたが、当時、私達は横浜に住んでおり、娘の発病は里帰り先の福岡の実家での事でした。私は娘の看病で病院、夫は横浜、長女は実家という家族バラバラの生活となりました。娘は小児慢性特定疾患という事で、医療費は、かかりませんでしたが、思った以上に雑費がかさみました。病気の心配とお金の不安で、眠れない日々が続きました。そんな時に、娘に生命保険がおりる事になり、涙が出るほどの安心感をいただきました。
 保険のおかげで、お金の不安が解消されて、娘の看病だけに、精神を集中する事が出来ました。経済的なゆとりは精神的にも大きな力をくれました。娘の病気と真正面から向きあう勇気と覚悟を与えてくれたのです。思いきって夫は福岡へ転職をしてくれ、家族一緒に暮らす事ができました。
 娘は三才でこの世を去りました。失った淋しさが消える事はありませんが、悔いのない看病が出来たと思っています。
 命はお金で買えるものではありません。しかし、お金が私達を精神的に支えてくれたのも事実です。生命保険が与えてくれたものはお金だけではない事を、実感しています。