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生命保険協会長就任にあたって(所信)

2014年7月18日

一般社団法人 生命保険協会

会長 渡邉 光一郎

Empowering the Next Generation
~次世代のために持続可能な活力ある社会づくりを~

わが国は世界に類を見ない急速な少子高齢化の進行に直面しています。人口は今から2060年までに約4,000万人減少し、高齢者1人を現役世代がほぼ1人で支える肩車型の社会が到来すると言われています。また2025年度の社会保障給付費は現在から約34兆円増加するとの試算もあります。人口構造の変化により、わが国は社会・経済システムを抜本的に再構築しなければなりません。そのために、社会保障・税一体改革とともに、民間の競争力強化やグローバルな成長、人材や資産の有効活用等を促進する成長戦略等、様々な議論や取組みが展開されています。中でも社会保障制度は、官民一体となって支えていくべきものであり、自助を基本とした自助・共助・公助のベストミックスと、それら全ての役割の更なる発揮が必要と認識しています。

生命保険会社は、年間約23兆円の保険金・給付金等をお支払いすることにより国民の自助を強く支えるとともに、近年は国民の健康増進に裨益する情報提供サービス等を積極的に行うことで広く社会保障制度の一翼を担っています。同時に、約350兆円の総資産を保有し、成長分野への投資や海外への事業展開等、わが国の経済活動の活性化に貢献する役割も担っています。また、約34万人の雇用のうち約8割が女性であり、さまざまな取組みを通じてダイバーシティを推進しています。つまり、私たち生命保険会社は、社会・経済が変革期にある今、次世代のために持続可能な活力ある社会づくりへ貢献できる存在であると考えています。

こうした観点から、この一年は“Empowering the Next Generation”をキャッチフレーズに、以下の3つの活動に重点的に取り組んでまいります。

1. Empowering Women & Health ~ずっと輝く女性と健康~

生産年齢人口の減少が進む中、労働力の確保はわが国経済の喫緊の課題です。加えて、経営環境や消費者ニーズの変化等に柔軟に対応するためにもダイバーシティの推進は企業にとって不可欠です。とりわけ女性の労働力率を年齢階級別にみると、30歳代を底としたM字カーブは緩和しつつあるものの、出産、子育てを機に就業を中断する女性がいまだに多いことが分かります。意欲や能力のある女性の力を経済・企業成長の原動力としてより一層活かすためには、働きながら安心して子育てできる環境整備を進める必要があります。そこで当会は、政府の待機児童解消加速化プランにも資する「子育てと仕事の両立支援プロジェクト」を検討してまいります。

また、すべての国民が健康で能力を発揮しながら社会に参加するためには健康寿命の延伸も重要な課題です。健康寿命の延伸により、社会が活性化し社会保障制度の持続可能性も高まります。そのためには国民一人ひとりの健康増進の意識に働きかけ、自発的な健康づくりをサポートしていくことが重要です。そこで当会は、政府の健康日本21に協力しながら「健康増進啓発プロジェクト」を全国的に展開することを検討してまいります。

加えて、今年度新たに策定した社会貢献活動3ヵ年計画に基づき、少子高齢化社会に対応した社会貢献活動を積極的に推進してまいります。

2. Empowering Peace of Mind ~ずっと大きな安心~

私たち生命保険会社は東日本大震災を通じ生命保険の原点を改めて確認しました。これからもお客さまに確かな安心をお届けするとともに、社会環境の変化やお客さまのライフスタイル、価値観の多様化を踏まえ、お客さまを支える態勢を更に整えていく必要があります。生命保険文化センターの調査によれば、生活保障の準備を求める意向も益々高まっています。私たち生命保険会社はこうした期待に応えるべく、消費者からの信頼の一層の向上、更なる商品・サービスの充実に取り組んでまいります。

当会は、せいほ意見交換会や「消費者の声」事務局の運営、金融ADR制度等を通じて、会員各社の経営品質を向上させるPDCAサイクルに取り組んでいます。昨年度は消費者理解をサポートする全世代対応型パッケージとして高齢者を対象とした情報冊子の提供を行いました。引き続き、会員各社の高齢者向けサービスを更に向上させる取組みを検討してまいります。

3. Empowering Insurance Framework ~ずっと頼もしい生命保険事業~

持続可能な社会保障制度を確立させるためには、自助・共助・公助の全てがその役割を十分に発揮すること、特に国民の自助・自立のための環境を更に整備することが重要です。国民の自助の担い手として、私たち生命保険会社が自らその事業・サービスの基盤を強化していくことに加え、グローバル経済と一体的に成長していくための基盤整備も必要です。こうした観点から、例えば、国民の自助努力を支援するための生命保険料控除制度の拡充、年金制度のあり方、番号制度の将来的な利用範囲の拡大、わが国の生命保険事業の特性を踏まえた国際金融規制や国際会計基準のあり方等について検討を進め、積極的に意見を発信してまいります。また、先の保険業法改正の趣旨も踏まえ、保険商品・サービス等のあり方に関する制度整備等を進めてまいります。

なお、当会では、中長期的に消費者利益を向上させるためには公正な競争条件の確保が不可欠であると考えており、民間生命保険会社との競争条件が完全に同一化されるまでは、かんぽ生命が要望している業務範囲の拡大や加入限度額の引上げ等について容認できないというスタンスに変わりはございません。引き続き各方面の動向を見極めつつ、必要に応じて意見を表明してまいります。

以上、協会長就任に際し、所信の一端を申し述べました。今年度、当会は一般社団法人への移行と地方組織の再編を完了し、本部と地方が一体となった新たな態勢で事業を開始する新創業の年と位置付けています。新体制となり、生命保険業界の社会的使命を胸に最大限の力をもって諸課題に取り組んでまいりますので、一層のご支援、ご協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

以 上

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