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「郵政民営化に関する意見募集」について

2014年10月3日

一般社団法人 生命保険協会

当会はかねてより、郵政民営化にあたっては、健全な生命保険市場の発展の観点から、同種の業務を営む事業者との適正な競争関係を阻害しないための「公正な競争条件の確保」および引受・支払等の「適切な態勢整備」が実現しないのであれば、かんぽ生命の加入限度額引上げや業務範囲の拡大は容認できない旨、繰り返し主張して参りました。

今般、郵政民営化委員会より、郵政民営化に関する意見募集が行われたことを受け、郵政民営化に対するこれまでの評価と今後の期待に関し、当会の考え方について、以下のとおり表明いたします。

    1.かんぽ生命の株式処分について

  • 郵政民営化法では、「日本郵政はかんぽ生命の株式の全ての処分を目指し、できる限り早期に処分すること」とされています。また、郵政民営化法の改正に際しての参議院の附帯決議でも、「日本郵政がかんぽ生命の株式の処分に向けた具体的な説明責任を果たすこととなるよう努めること」とされております。
  • こうしたなか、本年6月5日に財政制度等審議会が「日本郵政株式会社の株式の処分について」を答申したことは、日本郵政の上場を具体化する第一歩であると認識しているものの、現時点においては、かんぽ生命の株式完全処分に関する具体的な計画や方向性が示されておりません。
  • 平成24年度に生命保険文化センターが実施した調査によると、今後、かんぽ生命に加入しようと考える方のうち約3割の方が、かんぽ生命を選んだ理由として、「政府が間接的に株式保有していて安心できるから」「国営事業として運営してきた伝統があるから」と回答しております。
  • 一般に金融業では信用力が競争上重要な役割を果たすところ、かんぽ生命への間接的な政府出資が恒久的に続くことで、消費者に「政府が何らかの支援を行うのではないか」との認識が生じ、「公正な競争条件」が確保されない懸念は、依然として解消されておりません。
  • 従って、郵政民営化法に則り、日本郵政は、かんぽ生命の株式の完全処分につき適切な期限を定めるなど、かんぽ生命への間接的な政府出資の解消に向けた具体的な計画を速やかに示すとともに、その確実な実行を図ることが必要と考えます。

    2.民業に与える影響について

  • 当会は、かんぽ生命の学資保険の改定に関する郵政民営化委員会の調査審議に向けた意見募集に対し、「公正な競争条件」が確保されないなかでの学資保険の改定は到底容認できない旨を主張して参りました。しかしながら、郵政民営化委員会は「学資保険の改定について問題はない」旨の意見書をとりまとめ、その後の監督当局の認可を経て、平成26年4月以降、かんぽ生命において新たな学資保険が発売されております。
  • 平成26年度第1四半期の学資保険の販売件数は、民間生命保険会社(かんぽ生命除く)が約8万件(対前年同期比87%)であるのに対し、かんぽ生命は約19万件(対前年同期比415%)と大きく伸展しています。また、マーケットシェアの面においても、前年同期の34%から71%へと大きく拡大しています。
  • 学資保険の実績

    個人保険分野の保険金額に関しては、平成24年度の民間生命保険会社(かんぽ生命除く)の新契約における1件あたり平均保険金額は約525万円まで減少しており、新規加入限度額が1,000万円のかんぽ生命と民間生命保険会社との競争は一層激化しているといえます。

    平均保険金額の推移

    こうしたことからも、「公正な競争条件の確保」や引受・支払等の「適切な態勢整備」が実現されないなかでの業務範囲の拡大や加入限度額引上げは、民間生命保険会社の経営に与える影響が極めて大きく、更なる民業圧迫に繋がるとともに、かんぽ生命の健全性や顧客保護の観点からも影響を与えかねないものと考えます。したがって、「公正な競争条件の確保」や「適切な態勢整備」が実現しない限り、かんぽ生命による業務範囲の拡大や加入限度額引上げは、実施されるべきではありません。

    また、郵政民営化法では、新規業務の認可申請があった場合、「他の生命保険会社との間の競争関係に影響を及ぼす事情」を考慮することとされており、マーケットシェアや民間生命保険会社の経営に与える影響等について、公正中立な立場から十分な確認・検証が行われることを期待します。

    以 上

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