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株式会社かんぽ生命保険の保険金額の限度額引上げ等について

2015年6月29日

一般社団法人 生命保険協会

会長 渡邉 光一郎

当会は、かんぽ生命を公正かつ自由な民間の生命保険市場に迎え入れ、活力ある経済社会の実現に繋げていくこと、および、震災復興の財源への充当という政策課題への対応のためにも、今後予定されている上場が成功裏に遂行され、かんぽ生命の完全民営化が着実に進められることは重要であると考えます。しかしながら、完全民営化までの過程において、民間生命保険会社との「公正な競争条件の確保」および保険契約に係る引受・支払等の「適切な態勢整備」が実現しない限り、限度額の引上げや業務範囲の拡大は容認できない旨、繰り返し主張してまいりました。

今般、自由民主党「郵政事業に関する特命委員会」において、「日本郵政グループ3社の株式上場における郵政事業のあり方に関する提言」がとりまとめられ、その中で、かんぽ生命について、現在、最大1,300万円の加入限度額を本年9月末までに2,000万円に引上げ、その後も引上げを検討すべき旨が示されております。

一般に金融業においては信用力が競争上重要な役割を果たすところ、かんぽ生命に対する実質的な政府出資が存在し、また、完全民営化に向けた道筋さえも示されない状況においては「政府が何らかの支援を行うのではないか」との消費者の認識が生じ、「公正な競争条件」が確保されない懸念があります。こうした中、限度額の引上げや業務範囲の拡大は、民間生命保険会社の経営に与える影響が極めて大きく、民業圧迫に繋がるものであり、到底容認できません。

また、民間生命保険会社では、一定額以上の高額な保険契約を引受ける際には医師の診査を必要とし、専門的な見地から医的な選択を実施する等、適切な管理態勢を整備しています。この点は生命保険業におけるリスク管理・顧客保護の観点から大変重要です。かんぽ生命においては、無診査加入は経営上リスクを抱えることになることから、今後の経営に万全を期すべきであり、医師による診査等の適切な態勢整備が図られない中での限度額引上げや業務範囲の拡大は行われるべきではありません。

現在、全国の郵便局やかんぽ生命では、民間生命保険会社の商品を代理店として販売することで、様々な顧客ニーズに対応しながら、収益力の向上を図ることが可能であり、既に複数の民間生命保険会社との連携が構築されています。日本郵政グループの企業価値の向上と顧客ニーズへの対応といった視点では、限度額の引上げ等ではなく、日本郵政グループと民間生命保険会社が互いの得意分野を組み合わせ、取り組むことが肝要であると考えます。

郵政民営化法の第二条では「同種の業務を営む事業者との対等な競争条件を確保するための措置を講じ」ることが基本理念として掲げられており、改正郵政民営化法の附帯決議においては「限度額の水準については、法の施行により直ちに勘案すべき事情が変わるわけではないことから、当面は引き上げない」ことが示されております。今後、関係当局および郵政民営化委員会において、これらの経緯を踏まえた慎重かつ十全な審議・検討が行われることを強く希望いたします。

以 上

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