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生命保険協会長就任にあたって(所信)

2015年7月17日

一般社団法人 生命保険協会

会長 筒井 義信

これからもずっと 安心社会実現のために
~社会保障の一翼を担う生命保険事業の使命を果たす~

我が国に近代生命保険事業が誕生してから130年余、我々生命保険業界は相互扶助の理念のもと、一貫して、皆様へ安心を提供し、国民生活の向上を支えるべく取り組んで参りました。
 現在では、全国22万名を超える営業職員、9万店を超える代理店等のネットワークを通じて、年間約23兆円の保険金等をお支払いしており、これは、国の社会保障費の約5分の1にあたる規模となっております。
 先の東日本大震災では、こうしたネットワークを活かし、被災された方々に一刻も早く安心していただけるよう、保険金等の迅速なお支払いに努めるほか、業界一丸となって、安否確認活動や様々な支援活動に取り組み、各方面から高い評価をいただきました。
 また、我々生命保険業界は、約350兆円の総資産を保有する機関投資家・長期安定資金の供給者として、国民生活を支えるインフラ基盤や成長分野への投融資の実施、企業との建設的な対話を通じての企業の中長期的な成長への寄与等を通じて、我が国の経済活動の発展に貢献しております。

現在我が国においては、いわゆる「3本の矢」の一体的な推進により、デフレ脱却・経済再生について、一定の前進を果たしていると認識しております。我々生命保険業界としても、女性活躍推進や高齢者への対応など、業界と密接にかかわる課題について、主体的に取り組んで参りました。この一年も、これらの取組を継続、推進して参ります。

一方で、我が国の構造的な課題である急速な少子高齢化については、更なる対応が必要な状況にあります。足元、高齢者比率は約25%に達しておりますが、今後20年間で約33%にまで上昇し、国民の3人に1人が高齢者になるとも言われております。これまで戦後の成長下の日本を支えてきた既存の社会保障制度は、その持続可能性が揺らぎつつあります。
 また、近年、若年層において、自助努力としての生命保険の加入率が低下するなど、我々生命保険業界が担ってきた私的保障の領域においても、将来への備えが不足することが懸念されてきています。

現在、官民を挙げて、社会保障制度や少子化対策の議論が進められています。社会保障制度の持続可能性を高め、次世代を担う子どもたちが安心して暮らせる社会を実現するためには、「自助・共助・公助」のベストミックスが重要であり、その中で我々生命保険業界が担う役割はますます大きくなってきています。

生命保険協会ではこの一年、全ての人が将来の不安なく健康で豊かな生活をおくれる社会の実現に向けて、「これからもずっと 安心社会実現のために」をキャッチフレーズに、以下に掲げる取組を重点的に進めて参ります。

1.持続可能な社会保障制度の構築に向けて -社会保障制度への提言-

社会保障制度の見直しについては、現在、政府・厚生労働省を中心に様々な検討が行われております。いずれの検討においても、現状の社会保障制度のもとでの財政負担の限界が示唆されており、自助努力の重要性がより一層高まっております。このようななか、社会保障の一翼を担う我々生命保険業界は、社会保障制度の見直し議論に対して安心社会実現の観点から貢献して参ります。
 具体的には、医療・年金分野を中心とした社会保障制度全般について、生命保険業界が果たすべき役割を整理・取り纏め、関係機関に対し積極的に意見発信して参ります。特に、すでに公私連携の議論が開始されている年金分野については、公的年金を補完・代替し、国民の皆様が安心して暮らせるような私的年金の姿を提言して参りたいと考えております。
 また、女性が働きながら安心して子育てができる環境整備を進めるための支援や、健康増進の啓発活動の継続等、少子高齢化社会に即した社会貢献活動も進めて参ります。

2. 自助努力の役割・重要性の理解促進に向けて -保険教育の推進-

我々生命保険業界が提供する民間保険の領域においても、若年層を中心に保険加入率が低下してきており、安心社会の実現に向けた将来的な基盤に課題が生じてきております。この課題に対処するためには、自助努力の役割・重要性を広く理解いただくことが不可欠と考えており、国民一人ひとりが自ら生活設計を選択し組み立てていくために必要な知識の普及に取り組んで参ります。
 具体的には、教材提供等のこれまでの取組を更に進めるとともに、生活設計における保険の役割を体系的に習得できるよう、学校教育現場での保険教育機会の拡充等を検討し、関係機関への働きかけを行って参ります。
 これらの取組については、生命保険事業が直面している最重要課題の一つであるとの認識のもと、生命保険文化センターと十分に連携をとりながら、単年度での取組ではなく中長期的な取組として、しっかりと腰を据えて対応して参ります。

3. 生命保険事業の基盤整備に向けて -お客様からの信頼維持と事業の健全な発達-

お客様からの信頼を維持し、生命保険業界が健全に発達していくための基盤整備にも、継続して取り組んで参ります。

主な取組としては、まず税制面において、国民の皆様が必要とする多様な生活保障の準備を支援・促進するため、生命保険料控除制度の拡充を引き続き要望して参ります。次に、現在検討が進んでいる国際会計基準、国際的な金融監督・規制のあり方についても、我が国の生命保険事業の特性を踏まえ、真にお客様の利益に資するものとなるよう、積極的な意見発信をして参ります。さらには、日本版スチュワードシップ・コードが導入され、機関投資家が投資先企業の持続的成長をサポートすることが求められるなか、生命保険業界としても、株式価値向上に向けた要望を実施して参ります。

その他、金融ADR制度の適切な運営や「せいほ意見交換会」の開催等を通じ、お客様からの信頼維持に努めて参ります。また、現在、郵政民営化委員会等において、今後の郵政民営化の推進の在り方に関する議論が行われておりますが、かんぽ生命の業務範囲の拡大や保険金額の限度額の引上げを行うにあたっては、公正な競争条件の確保や適切な態勢整備が不可欠であると考えており、こうした条件が整わない限り、容認できないというスタンスに変わりはございません。引き続き各方面の動向を見極めつつ、必要に応じて意見を表明して参ります。

以上、協会長就任に際し、所信の一端を申し述べました。この一年も、「安心社会を実現する」という、生命保険事業としての社会的使命を果たすため、全力で取り組んで参る所存です。皆様におかれましても、当会の活動につきましては、一層のご支援、ご協力を賜りますよう、お願い致します。

以 上

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