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生命保険協会長就任にあたって(所信)

2017年7月21日

一般社団法人 生命保険協会

会長 橋本 雅博

安心して健康に暮らすことができる社会の実現のために

我が国に近代的な生命保険制度が紹介されて150年。明治時代初期に歩み始めた生命保険事業は、社会公共の福祉の増進に貢献するという使命のもと、日本経済の発展とともに着実に成長し、国民生活の向上を支えてまいりました。

現在では年間21兆円を超える保険金や給付金等をお支払いするなど、生命保険事業は社会保障制度の一翼を担うまで発展を遂げ、公的保障を補完する重要な役割を果たしております。

また、人口の高齢化が進展する中、政府においては健康長寿社会の実現に向け、様々な施策が講じられておりますが、生命保険業界においても、老後も安心してお過ごしいただけるよう、多様な保険商品を提供することなどを通じて健康長寿社会の実現に向けた取組みを行っております。

一方で、超高齢社会の到来に伴い、経済成長を上回って社会保障の給付が増大していくことが見込まれており、将来にわたって持続可能な社会保障制度を構築していくことが喫緊の課題であります。社会保障制度の持続可能性を高め、すべての人が安心して健康に暮らすことができる社会を実現するためには、「自助・共助・公助」の適切な組み合わせが重要であり、自助努力としての私的保障を提供する生命保険事業の役割はますます大きくなっていると認識しております。

また、生命保険業界は、約370兆円の総資産を保有する長期安定資金の供給者として、国や地方公共団体が発行する公社債への投資や成長分野への投融資を行っております。加えて、建設的な対話を通じて企業の中長期的な成長をサポートするなど、我が国の経済活動の活性化に貢献しております。

足下の我が国経済は、デフレ脱却と持続的な経済成長の実現に向けて、政府による成長戦略が着実に進められており、雇用環境等の改善が続くなど明るい兆しが見られます。他方で、生産年齢人口の減少が進む中、企業においてはダイバーシティの推進や働き方改革による生産性の向上、ワーク・ライフ・バランスの推進等を通じた従業員の健康維持を図る取組みが拡がりつつあります。

生命保険協会ではこれまで、持続可能な社会保障制度への貢献や、消費者目線に立った経営、高齢者対応、保険教育の推進、健康寿命の延伸や金融資本市場の活性化等の成長戦略への貢献、国際競争力強化に資する意見発信を行うなど、継続的な取組みを実施してきました。この一年においても、生命保険事業の健全な発展に向けた基盤整備を進めるとともに、これまでの取組みを一層推進するために、以下の三つの柱を掲げて取り組んでまいります。

1. 安心社会の実現に向けて -生命保険事業の役割の発揮-

持続可能な社会保障制度の構築に向けて、医療や年金分野をはじめとする私的保障を提供する生命保険事業の役割は一層高まっております。この役割をしっかりと果たしていくためには、生命保険会社が自ら創意工夫を発揮し、お客さまのニーズに合った最適な保障やサービスの提供など「顧客本位の業務運営」の確立と定着に努めることが、これまで以上に求められております。

生命保険協会では、会員各社による消費者目線に立った経営を支援しており、「せいほ意見交換会」における消費生活相談員等とのコミュニケーションの強化や、当会に寄せられるお客さまの意見の集約・分析などを通じて、会員各社における顧客本位の業務運営を継続してサポートしてまいります。

また、高齢者に配慮した取組みについては、自主ガイドラインのフォローアップ等を通じて、会員各社における高齢者対応の底上げに取り組んでまいります。

さらに、公的保障を補完する私的保障の必要性や保険の役割等について、次世代を担う子どもたちに学校教育の段階から理解を促すことが重要であると考えております。より多くの方々に生命保険のことをご理解いただくため、生命保険文化センターと協力しながら、保険教育の取組みを進めてまいります。

2. 健康長寿社会の実現に向けて -健康で心豊かな社会づくりへの貢献-

一人ひとりが健やかで心豊かな生活を送ることは、地域の活性化や企業の生産性・収益性の向上などの効果をもたらし、何よりも健康長寿社会を実現するための礎となるものです。

政府では「未来投資戦略2017」において「健康寿命の延伸」を掲げ、国民一人ひとりの健康づくりや疾病等の予防をサポートするため、官民一体となった取組みが進められております。また、企業においても、従業員の健康維持や増進を図る健康経営が拡がりつつあります。

当会としても、長期にわたってお客さまの人生を支えるという生命保険の使命に鑑み、一人ひとりが健やかで心豊かな生活をより長く送れるよう、健康寿命の延伸という点でも更なる貢献ができるものと考えております。

当会では、こうした社会環境の変化を捉え、企業や地域社会における健康づくりの取組みをサポートする活動を推進してまいります。

加えて、今年度策定しました新たな社会貢献活動3ヵ年計画に基づき、女性が働きながら安心して子育てができる環境整備を進めるための支援や、少子高齢化社会に対応した社会貢献活動を実施してまいります。

3. 生命保険事業の基盤整備に向けた活動  -活力ある資本市場への貢献等-

生命保険事業の基盤整備に向けた取組みについて、継続して推進してまいります。

主な取組みとしては、会員各社がスチュワードシップ・コードの改訂等を踏まえた企業・株式価値の向上に積極的に取り組み、機関投資家としての役割を一層発揮していくことが重要と考えており、当会としても企業との対話の活性化や株式価値向上に向けた要望等を実施してまいります。

また、税制面では、国民の皆様が必要とする私的保障の準備を支援・促進するため、生命保険料控除制度の拡充等を引き続き要望してまいります。

さらに、国際的な金融監督・規制や国際会計基準等については、健全な生命保険事業の運営とお客さまの利益に資するものとなるよう、積極的に意見を発信してまいります。

その他、かんぽ生命における業務範囲の拡大や加入限度額の引上げ等については、中長期的に消費者利益を向上させるために公正な競争条件の確保が不可欠であると考えており、各方面の動向を見極めつつ、必要に応じて意見を表明してまいります。

以上、協会長就任に際し、所信の一端を申し述べました。この一年間、全力で諸課題に取り組んでまいりますので、皆様方におかれましても、一層のご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

以 上

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