エッセイ入選 |
困った時は"お父さんのお金"があるから大丈夫。これがわが家のこの十年の合言葉でした。私が十歳の時、父は心臓疾患で急死。経営していた町工場を整理するのが精一杯で働き始めた母。私は眠れない、食べられない、それに学校は?生活は?と不安がいっぱい。おそるおそる母にきいてみると、"お父さんのお金(生命保険)
のことを教えてくれたのです。贅沢は出来ないけれど大丈夫の言葉に私の心はパッと晴れ、母に心配をかけないように頑張ろうと思いました。大切なお金はいざという時のためだから普段は手を付けず無駄遣いを防ぐようにとも言われましたが、少しも苦になりませんでした。大学受験の時も安心して挑戦し希望校に入学しました。
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