1996年エッセイ・入選
『25日は忙しい!』
埼玉県 野尻雅子さん
44歳 (会社員)
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毎月25日は、5時半の終業と同時に「お先に!」と言って銀行まで急ぐ。26日に夫の生命保険料が銀行口座から引き落とされる。
夫の給料日は月末、翌月の26日のために一応は口座に用意するのだが、どうも20日過ぎになると赤字家計費には有り難い残金を使い込む。従って、私の給料日に口座へ入金しなくてはならない。銀行の預金機は夕方6時迄、5時半から30分の間に、それ一急げー!愛車2輪ベンツで駅前の人混みの中を駆け抜け、預金機の前に滑り込みセーフ。通帳に打ち込まれるとホッと一息。
夫は健康診断や人間ドックでは優等生の46歳だが、いつどんなことが起こるかわからない。普通死亡3000万円、月額22,879円の生命保険。私も健康な44歳、自転車のスピード運転と車の運転に気をつけようと、思ってはいるが安心はできない。普通死亡1000万円、月額15,012円の生命保険を掛けている。私立大学生の長男と2つの塾に通う次男がいて、住宅ローンも払って、我家の家計はキューキュー。
だから、夫が倒れたらとか、私が怪我でもしたらと考えると不安になる。そんな毎日の安心を得るために、生命保険に頼ることになる。毎月の保険料は他の出費から考えても重い負担ではあるが、元気に働いてしっかり払い続けよう。
それには25日の愛車2輪ベンツのスピード運転はまだまだやめられない。安全に気をつけて頑張ろう。でも、私の保険には3年毎に30万円の給付金がある。それがとっても楽しみ、「何に使おうかな…」
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