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「今後の郵政民営化の推進の在り方に関する郵政民営化委員会の所見」について

2015年12月25日

一般社団法人 生命保険協会

会長 筒井 義信

本日、郵政民営化委員会において「今後の郵政民営化の推進の在り方に関する郵政民営化委員会の所見」(以下、「所見」)が公表されました。当会は、当調査審議に際して、日本郵政グループの企業価値向上と生命保険市場の健全な発展を適切に両立させていくことが望ましいとの考えから、以下のとおり、8月3日に意見を提出し、同月27日の郵政民営化委員会のヒアリングにおいて意見表明を行っております。

  • ○ 郵政民営化を推進するにあたっては、日本郵政グループと民間生命保険会社が、双方の得意分野(強み)を認識し、適切に補完しあうことが重要である。

  • ○ こうした相互補完関係を構築することによって、中長期的な消費者利益の実現、健全な生命保険市場の発展へと繋がっていくものと認識している。

  • ○ 一方で、かんぽ生命に対する実質的な政府出資が存在し、また、完全民営化に向けた道筋も示されていない状況においては、「公正な競争条件」が確保されているとは言い難く、そのようななかでのかんぽ生命の限度額引上げを含めた業務規制の緩和については、到底容認できない。

本日公表された所見においては、かんぽ生命が「小口でシンプルな生命保険」を提供し、職域における高額保障ニーズに対しては、「他社商品を補完的に活用する」といった、かんぽ生命と民間生命保険会社との相互補完関係を今後のビジネスモデルの基本的な方向とするとともに、当面は「現行1,000万円の基本契約の限度額は変更しない」との見解が示されたことは、当会の主張とも一致するところであります。

一方で、加入から4年経過した契約において追加加入が可能となる現行の300万円を1,000万円まで引上げ、結果として、限度額合計を2,000万円とすることが妥当との見解が示されております。国内の生命保険契約の7割以上が保険金額1,000万円以下であるなか、今回示された2,000万円もの保険金額水準は「小口」な生命保険とは全く異なるものであり、保障性を中心とする民間生命保険会社との補完関係が損なわれ、民業圧迫に繋がるものと考えます。

また、引上げを妥当と判断した理由として、主に告知書扱いの保険におけるリスク管理の観点が示されておりますが、過去に追加加入金額300万円を設定する際は、告知書扱いの保険におけるリスク管理の観点のみならず、同種の業務を営む事業者との対等な競争条件の確保、物価の上昇率等、様々な要素を踏まえた議論が重ねられ、基本契約と追加加入金額との合計である1,300万円及び経過期間4年の妥当性等を慎重に判断し設定されたものと認識しております。

更に、所見では、限度額の引上げだけでなく、「段階的な業務制限の緩和等」についても言及されておりますが、これらは本来、郵政民営化法において「金融二社の株式について、その全部を処分することを目指し(中略)、できる限り早期に、処分するものとする」とされているとおり、かんぽ生命株式の完全処分を前提とするものでなければならないと考えます。

今般、かんぽ生命の株式が上場されたとはいえ、いまだ9割近くの株式を政府が実質的に保有し、かつ、株式の完全処分に向けた道筋も示されてはいない現状においては、「公正な競争条件」が確保されているとは到底言えず、加えて、業務規制に対する基本的考え方として利用者利便の重視が示されているなか、かんぽ生命の限度額規制に関する利用者利便の視点は何ら明示されておりません。

当結論に至った郵政民営化委員会における調査審議の過程・議論が十分に開示されないまま、当面の対応のみならず、将来的に更なる緩和を検討するとの方向性が示されたことは、極めて遺憾と言わざるをえません。

今後の調査審議や具体的な手続き等においては、以下の点を踏まえた公正・中立かつ慎重な対応を強く要望いたします。

  • ○ 当所見で示された「段階的な業務制限の緩和等」にかかる具体的な検討を進めるにあたっては、まずは「段階的」の前提となるかんぽ生命の株式の完全処分につき、適切な期限を定めるなど、かんぽ生命への実質的な政府出資の解消に向けた取組を明確にすべきであること。

  • ○ かんぽ生命が告知書扱いによる保険引受を前提に限度額の引上げを行うにあたっては、あらためて顧客の特性等を踏まえた適切な引受条件の設定等の態勢整備を行うべきであること。

以 上

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