生命保険協会長就任にあたって(所信)

一般社団法人 生命保険協会
会長 高田 幸徳

会長

~確かな安心と信頼を広げ、よりよい未来に貢献するために~

生命保険協会は「わが国における生命保険業の健全な発達及び信頼性の維持を図り、もって国民生活の向上に寄与すること」を目的として活動をしております。

こうした中、近年、わが国の国民生活を取り巻く環境は過渡期を迎えています。

米国の経済政策がもたらす影響に引き続き注視が必要な中で、原材料・エネルギー価格の高騰や物資の不足等による物価上昇が続いており、各地で頻発する様々な自然災害の脅威など、予測不能で不確実性の高い環境が国民生活を脅かしています。

また、今年2025年はいわゆる団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる年であり、医療・介護ニーズの高まりに合わせて社会保障費が増加するとともに働き手不足が深刻化するなど、諸国が未だ経験したことのない難局が、やがて国民生活に影を落とすかもしれません。

このような時代の変わり目にある今こそ、将来への確かな備えと安心を提供してきた生命保険業界が使命を果たすときであり、誠実で着実な事業推進の下で存分にその機能を発揮し、国民生活の向上に一層貢献していくことが重要であると考えております。

また、一生涯に亘る長期的な時間軸で皆さまに寄り添い続けてきた生命保険業界であるからこそ、この不確実性が高い環境下にあっても一人ひとりが豊かな人生を実現し、「よりよい未来」を切り拓いていくためのお力になれるのではないかと考えております。

こうした認識のもと、確かな安心と信頼を広げ、一人ひとりのよりよい未来に貢献していくために、今年度は次の3点を軸に取り組んでまいります。

1.顧客本位の業務運営の推進

お客さまから信任をいただきながら将来への確かな安心をお届けし続けていくために最も重要となることが、お客さまの最善の利益を追求する「顧客本位の業務運営」です。これは、生命保険業界が事業の礎として絶えず推進し続けていかなければならないものであり、何より優先すべき考え方です。

このため、2023年2月に公表し、フォローアップを継続してきた「営業職員チャネルのコンプライアンス・リスク管理態勢の更なる高度化にかかる着眼点」に基づいて、好取組事例の共有を図るとともに、会員各社の態勢整備に向けた推進を継続してまいります。

また、代理店チャネルにおける乗合代理店の保険販売については、お客さまの適切な商品選択の機会を確保することが何よりも重要であると認識しております。昨今の生命保険業界に対するご指摘や課題を真摯に受け止め、代理店との適切な関係性の構築を推進するとともに、先般の国会で成立しております「保険業法の一部を改正する法律」の施行に向けた体制整備の後押しや、外貨建て一時払保険等のプロダクトガバナンスの充実の観点から保険会社と販売会社間の建設的なコミュニケーションを推進することで、代理店を含む業界全体として、お客さまの最善の利益の追求に努めてまいります。

2.持続可能な社会とよりよい未来への貢献

生命保険協会では、持続可能な社会の実現に貢献するため、生命保険業界におけるSDGs達成に向けた重点項目を定め、会員各社の対応を後押しする様々な取組みを実施してまいりました。今後、より一層国民生活の向上に寄与していくためには、こうした現在の延長線上にある「持続可能な社会」を実現することに加え、現在を超えてプラスになるような「よりよい未来」を目指すことも視野に入れた取組みを推進していくことが重要です。

このため、国の豊かさを示す新たな指標の1つとして国際的に議論されているWell-beingという考え方について、その現状やこれからの可能性についての認識を共有するとともに、政府が推進する資産運用立国の実現や国民一人ひとりの「Financial Well-being」の向上に資する取組みを中心とした、生命保険業界の貢献のあり方などについて考え、発信していくためのシンポジウムの開催を予定しております。

また、生命保険業界における女性の更なる活躍を推進するとともに、働く誰もがWell-beingを実感できる業界の実現を目指し、会員各社におけるアンコンシャス・バイアス解消のための取組事例の調査や、会員各社の女性リーダー候補者を対象としたネットワーキングイベントの実施、および性別にかかわらず職業生活における活躍推進の障害の一因とされている「介護離職問題」に関する業界の取組状況等を取りまとめた報告書の作成を予定しております。

なお、引き続き、ESG投融資やスチュワードシップ活動を通じた、投融資先企業の企業価値向上や持続可能な経済成長への貢献に向けた取組み等を継続することにより、持続可能な社会の実現に向けてさらなる役割を発揮してまいります。

3.生命保険業の健全な発展に資する情報発信

予測不能で不確実性の高い環境の中にあっても、生命保険業界が揺るがず安定して事業を継続し、お客さまに安心を提供し続けていくためには、生命保険業界が誠実で着実な事業推進の下で健全な発展を遂げるとともに、皆さまに我々の様々な活動をご理解いただき、ご賛同いただくことが重要です。

このため、会員各社が取り組む社会貢献活動について、生命保険協会を通じた情報開示のあり方を整備し、円滑な情報発信を推進することによって、生命保険業界の社会貢献活動をよりわかりやすく身近なものとして皆さまにお伝えしていくことを考えております。

また、生命保険募集人は、性別や年齢等にかかわらず幅広い人材が多数活躍しておりますが、こうした生命保険募集人を総称する親しみやすい呼称を公募することで、生命保険募集人の多様性や意義についてのご理解を深めていただくとともに、生命保険募集人の更なる活躍を後押ししたいと考えております。

これらに加え、国民の皆さまの生命保険の理解を促進し、保険分野における金融リテラシーの向上に貢献するための取組みや、「昭和100年」を迎えることを記念した昭和時代の生命保険事業に関する情報発信、今年度決算より導入される「経済価値ベースのソルベンシー規制」に関する消費者向け情報開示など、生命保険や生命保険業界のことをご理解いただくための様々な情報発信を行ってまいります。

更にこれら3点の取組みの軸に加え、生命保険業界がお客さまからの信頼を維持し、健全に発展していくための基盤整備に継続して取り組んでまいります。

税制面では、国民の皆さまが必要とする多様な生活保障の準備を支援・促進するため、生命保険料控除制度の拡充を引き続き要望してまいります。

かんぽ生命における業務範囲の拡大や加入限度額の引き上げ等については、中長期的に消費者利益を向上させるためには公正な競争条件の確保が不可欠であるとの考えのもと、市場への影響等を見極めつつ、必要に応じて意見を表明してまいります。

また、会計や規制に関する諸課題については、国際動向や我が国の生命保険事業の特性を踏まえた検討を行い、積極的に意見発信してまいります。加えて、当会の国際活動について、国内外に周知してまいります。

以上、協会長就任に際し、所信の一端を申し述べました。

不確実性が高い環境の中にある今こそ、将来への確かな安心や付加価値を提供してきた生命保険業界の社会的使命を果たし、国民生活の向上に一層貢献するために、この一年間、全力で諸課題に取り組んでまいります。

皆さまにおかれましても一層のご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

以 上