令和5年 年頭所感

一般社団法人 生命保険協会
会長 稲垣 精二

令和5年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。

昨年は、国内において新型コロナウイルス感染症が更なる猛威を振るいました。

生命保険業界としても、感染やこれに伴う生活への影響といったリスクに直面されているお客さまに寄り添い、新型コロナウイルス感染症による入院給付金等のご請求に対して延べ950万件、1兆円を上回るお支払いを行うなど、生命保険会社としての社会的使命を果たすべく全力で取り組んだ1年でありました。

足元では、長引く感染症やウクライナ情勢等が国内外の経済・社会に大きな影響を及ぼすなど、私たちを取り巻く環境はより一層複雑化しています。また、従来の延長線上にない出来事を経験することで、お客さまの価値観やライフスタイルの変化が急激に加速しています。生命保険業界としては、そうした様々な環境変化に対応し、お客さまに「安心をお届けする」という社会的使命を変わることなく果たし続けていくことが重要であると考えています。

こうした考えのもと、昨年7月の協会長就任時に申し上げた次の2点を軸に、本年も積極的に取組みを進めてまいります。

1.顧客本位の業務運営の推進に向けた取組み

生命保険業界が変わらぬ安心をお届けしていくためには、お客さまとの信頼関係を確保し、顧客本位の業務運営をより一層推進していくことが何よりも重要であると考えています。

その一環として、生命保険協会として、営業職員チャネルのコンプライアンス・リスク管理態勢の更なる高度化にあたって会員各社の取組みを後押しできるような考え方や具体策の例などを「着眼点」として取りまとめるべく、昨年8月に設置した専門PT等において具体的な検討を進めています。各社のチャネル属性や業務運営・制度等の違いを踏まえつつ、各社取組みの高度化・実効性向上に資するものとなるよう、引き続き、経営トップの方々と心を合わせて検討を進めてまいります。

また、生命保険協会が昨年4月に開始した「代理店業務品質評価運営」について、評価付けを獲得した代理店を3月頃に公表する予定です。今後も本制度の周知・浸透を図ることで生命保険乗合代理店における顧客本位の業務運営の推進をサポートしてまいります。

2.未来のWell-beingの実現に向けた取組み

(1)デジタル社会の実現に向けた生命保険業界としての役割発揮

デジタル社会が進展する中で、社会保障制度を補完する生命保険業界としても、社会保障分野のデジタル化の動向を的確に捉えつつ、生命保険を通じた安心をお客さまにとってより効率的に提供していくことが重要であると考えています。

このため、社会保障分野におけるデジタル化の取組み等について諸外国の先進事例等の調査・研究を進めるとともに、生命保険会社としての更なる効果的なサービス提供の可能性等について報告書を取りまとめ、春頃に公表する予定です。

加えて、マイナンバーカードやマイナポータルといったマイナンバー制度等を通じた生命保険業界でのデータ利活用について、外部からの専門的知見も積極的に活用しつつ、幅広くユースケースの検討を進めています。今後は具体的なサービスの導入・検討に役立つ事例集を作成し会員各社に提供するとともに、新しいサービスの実現に向けて乗り越えるべき制度面の課題等を提言書として取りまとめ、春頃に公表する予定です。

(2)持続可能な社会の実現に向けた生命保険業界としての役割発揮

生命保険業界として、引き続き、ESG投融資やスチュワードシップ活動を通じた投融資先企業の企業価値向上や持続可能な経済成長への貢献に向けた取組みを推進するとともに、持続可能な社会の実現に向け、生命保険業界全体のSDGs達成に向けた取組みを推進してまいります。

これまで進めてきた気候変動に関するテーマに加え、企業における人権対応への社会的責任が増している状況を踏まえ、会員各社の態勢の高度化を後押しするため、人権デュー・ディリジェンスの手法等の実務的な対応を解説したハンドブックを作成し、2月に公表する予定です。また、生物多様性に関して昨年11月に専門PTにおいて外部講師を招いた講演会を実施しており、引き続き、こうした活動を通じてSDGsに係る会員各社の取組みを後押ししてまいります。

(3)事業の健全な発展に向けた基盤整備

生命保険業界として、国民の皆さまが必要とする私的保障の準備を支援・促進するための税制面での拡充、国内外の金融規制の在り方等について検討を進め、積極的な意見発信を継続してまいります。

また、国民の皆さまの金融リテラシー等の向上に貢献するとともに生命保険事業に対する理解促進を図るため、幅広い世代への保険教育活動にも継続して取り組んでまいります。

これらの取組みを通じて、社会的信頼の維持・向上、また将来にわたる更なる役割発揮を実現し、お客さまの未来のWell-beingにつなげられるよう全力で取り組んでまいります。

最後になりますが、本年が皆さまにとって素晴らしい一年となることを祈念いたしまして、新年のご挨拶とさせていただきます。

以 上