2024年 年頭所感

一般社団法人 生命保険協会
会長 清水 博

はじめに、先日発生した令和6年能登半島地震により、お亡くなりになられた方々に謹んで哀悼の意を表しますとともに、被害を受けられた方々に心よりお見舞い申し上げます。

被災された方々が一刻も早くご安心いただけるよう、生命保険業界として、最大限の対応を行ってまいる所存です。被災地の皆様の安全と被災地域の一日も早い復興を心より祈願しております。

さて、昨年は、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが5類感染症に変更され、社会・経済が正常化に向けて前進した一方、ウクライナや中東地域等の世界的な政情不安やインフレの進行等、プラス・マイナス両面で大きな変化が生じた一年でありました。

こうした変化の中にあっても生命保険業界は、相互扶助の理念の下、一貫して皆様に安心を提供し、国民生活の向上を支えるべく取り組んでまいりました。全国24万名を超える営業職員、約8万店の代理店等のネットワークを通じて保険商品を提供し、新型コロナウイルス感染症による入院給付金等のご請求に対して延べ1,100万件、1兆3,000億円のお支払いを行う等、生命保険事業の社会保障制度を補完する社会基盤としての使命を果たすべく活動を行ってまいりました。

今後も、生命保険業界として、様々な社会課題の解決に貢献することで、お客様からの信頼を維持し、社会に役立つ業界であり続けたいと考えております。こうした考えの下、昨年7月の協会長就任時に申し上げた次の3点を軸に、本年も積極的に取組みを進めてまいります。

1.顧客本位の業務運営の推進に資する取組み
~「安心社会」実現に向けて~

今後も生命保険業界がお客様に変わらぬ安心をお届けし、社会の役に立ち続けていくためには、会員各社がお客様の最善の利益を追求する「顧客本位の業務運営」を推進していくことが何よりも重要です。

その一環として、昨年9月、「営業職員チャネルのコンプライアンス・リスク管理態勢の更なる高度化にかかる着眼点」を踏まえた取組み等について、会員各社による意見交換を実施致しました。昨年10月に実施した会員各社の取組みに関するアンケートの結果等を踏まえ、改めて、会員各社による意見交換等を実施する予定です。

あわせて、2年目を迎えた代理店業務品質評価運営について、業務品質評価基準における基本項目を全て達成したと認められた代理店を2月末頃に公表する予定です。

さらに、パンデミックに対する経験として今後に活かすべく、昨年11月、生命保険協会や会員各社の、新型コロナウイルス感染症を巡る一連の取組みを纏めた「新型コロナウイルス感染症を巡る生命保険業界の取組み及び次のパンデミックに向けた経験の継承」に関する報告書を公表致しました。

加えて、国民の皆様の金融リテラシー向上を一層効果的に図る観点から、リスクに対する自助努力の重要性を学ぶための保険教育に連携・協働して取り組むべく、昨年11月、日本損害保険協会・生命保険文化センターと「保険教育に関する包括連携協定」を締結致しました。

2.地域社会における課題解決に資する取組み
~「希望あふれる社会」実現に向けて~

少子化という喫緊の課題に対し、社会全体の子育て支援の機運高揚に貢献すべく、少子化社会に対応した生命保険協会・会員各社の取組みを取り纏め、生命保険業界の果たす役割を改めてお示ししてまいります。あわせて、地域における子育てを支える取組みに注力すべく、子育て支援や子どもの権利保護等に関する内容を纏めた研修教材等を作成し、業界内外に発信してまいります。これらの取組みについては、4月に公表する予定です。

さらに、生命保険協会・会員各社は以前より、地域社会に根差した社会貢献活動に積極的に取り組んでおり、皆様に分かりやすくお伝えすべく、生命保険業界の取組みを一元的に可視化する形で生命保険協会ホームページ・SR報告書を改定し、6月に公表する予定です。

加えて、デジタライゼーションが急速に進展する中、会員各社のデジタル化取組みを一層後押しすべく、先端デジタル技術に関する調査報告書の作成や有識者による勉強会の実施等の対応を図ってまいります。

3.地球環境の課題解決に資する取組み
~「持続可能な社会」実現に向けて~

持続可能な社会の実現に向けた具体行動の重要性が益々高まる中、引き続き、ESG投融資やスチュワードシップ活動を通じた、投融資先企業の企業価値向上や持続可能な経済成長への貢献に向けた取組みを進めてまいります。

あわせて、昨年、東京で開催された「PRI in Person 2023」およびIAISの年次総会等の機会を捉え、業界全体の取組みについて主体的に情報発信するとともに、会員各社の取組みの一層の高度化に繋げるべく、会員各社との意見交換等を実施致しました。

さらに、会員各社の取組みを後押しすべく、地球環境等に係る課題を平易に解説した基礎編と、グローバルなイニシアティブの動向等、専門的な内容を解説した応用編の2種類のハンドブックを作成し、4月に公表する予定です。

これら3点の取組み軸に加え、お客様からの信頼を維持し、生命保険業界が健全に発展していくための基盤整備にも継続して取り組んでまいります。生命保険業界として、国民の皆様が必要とする多様な生活保障の準備を支援・促進するための税制面での拡充、国内外の金融規制の在り方等について検討を進め、積極的に意見発信してまいります。

以上の取組みを通じて、生命保険事業の使命を果たし、希望あふれる持続可能な安心社会の実現に貢献してまいります。

最後になりますが、皆様のご健勝とご多幸を祈念致しまして、新年のご挨拶とさせていただきます。

以 上