東日本大震災から10年に際して

2021年3月11日

2021年3月11日

生命保険協会
会長 根岸秋男

東北地方を中心に未曾有の被害をもたらした東日本大震災の発生から10年という節目を迎え、被災された皆さまに改めて心よりお見舞い申し上げますとともに、復興に日々ご尽力されている方々に深く敬意を表したいと存じます。

この観測史上最大規模となった地震への対応は、「いかなる時も変わらぬ安心をお届けする」ことを使命とする生命保険業界にとり、その存在意義が社会から問われ、また自らにおいても問い直す、そうした機会となりました。当時、生命保険協会では、被災された方々に一刻も早くご安心いただけるよう、「保険料払込猶予期間の延長」や「保険金・給付金の簡易迅速なお支払い」等の特別措置を直ちに実施することはもとより、避難所等への訪問や電話・ダイレクトメールといったあらゆる手を尽くし、お客さま一人ひとりの安否確認活動に全力で取り組んでまいりました。そうした取組みは一定の評価をいただいたと自負しておりますが、それよりも、お客さまから頂戴した要望・感謝・慰労・励まし等の様々な声を通じ、「お客さまに常に寄り添うこと」や「お客さまの声に真摯に耳を傾けること」の大切さ・尊さを再認識し、学び直すことができた、かけがえのない経験となりました。

(*) 保険金のお支払い(業界全体) 21,027件、1,599億円(2013年3月末時点)
安否確認活動(業界全体) 26,000名超のスタッフ動員、131万件以上のアウトバウンドコール、1,363万通以上のダイレクトメール送付等により、東北3県で293万人(99.97%、2012年3月時点)の安否を確認

こうした震災当時の経験は、わが業界における教訓・DNAとなって、今も様々な形でお客さま対応の高度化へとつながっております。たとえば、超高齢社会の到来への対応といった視点では、定期的なアフターフォローや能動的なご請求勧奨といった取組みの一層の強化につながり、また、認知判断能力が低下した場合等における生命保険契約の有無に関するご照会に対して業界横断的にお答えする新制度の創設(本年7月予定)にもつながろうとしております。まさにお客さま対応の高度化に向けた駆動力の1つであり、この経験・教訓をしっかりと未来に引き継いでいく重要性を痛感しております。

本日、東日本大震災から10年という節目を迎えました。しかし、地震や風水害等の自然災害は今もって後を絶たず、また、新型コロナウイルス感染症の拡大といった新たな問題も生じてきております。生命保険業界が果たすべき「いかなる時も変わらぬ安心をお届けする」との使命は、色褪せるどころか、ますますその重要性を高めていると認識しております。そうした認識のもと、10年という節目の日にあたり、改めて私たちが担うべき社会的使命を肝に銘じるとともに、引き続き業界をあげて「顧客本位の業務運営」を実践し、お客さまに寄り添った各種の取組みの拡充・強化に努めてまいることをお誓い申し上げる次第です。

最後に、被災地の復興はいまだその途上にございます。一日も早い復興を心より祈念しております。

以 上