「かんぽ生命保険の医療特約の改定等に関する郵政民営化委員会の調査審議」の結果について

2021年12月21日

一般社団法人 生命保険協会

会長 高田 幸徳

2021年12月17日、郵政民営化委員会において、「かんぽ生命保険の医療特約の改定等に関する郵政民営化委員会の調査審議」の結果が取りまとめられました。

当会としては、株式会社かんぽ生命保険(以下、かんぽ生命)の新規業務に関し、郵政民営化法上の認可制から「届出制」へ移行した後も、「公正な競争条件の確保」と「適切な態勢整備」が重要だと考えており、今般届出がなされた新規業務(かんぽ生命の医療特約の改定等)に対し、12月15日に実施された郵政民営化委員会の意見聴取において、以下の趣旨の意見表明を行ってまいりました。

<公正な競争条件の確保>

  • 医療特約の保障内容に関し、特に入院一時金の大幅な強化が図られているほか、特約付加基準の緩和により、医療保障主体の提案が可能となり、実質的な商品性が「医療保険」に近いものとなることから、第三分野マーケットにおける民間生保各社との競合が激化することが想定される。
  • 第三分野(医療等)は各社にとって重要なマーケットであり、第三分野を中心に事業展開している会社も相応にある中で、間接的な政府出資が残るかんぽ生命による第三分野マーケットへの取組みが加速することは、民間生保各社への影響が大きく、競争関係を歪める懸念がある。

<適切な態勢整備>

  • 医療特約の商品魅力向上に伴い、新規顧客に加えて、既契約者の見直しニーズも相応に増加することが想定されることから、募集面をはじめとした適切な態勢整備が必要だと考えられる。

<上記見解に基づく当会の意見>

  • 新規業務に係る配慮義務について、公平・中立な第三者の立場から、当会の見解も踏まえ、十分かつ慎重な検証等をお願いしたい。
  • 仮に今般の改定内容にて販売開始される場合であっても、業務開始後の継続的な検証等をお願いしたい(第三分野年換算保険料の動向等)。

12月17日の郵政民営化委員会において、調査審議の結果、実施については問題ないとの判断がなされておりますが、当会としては、「公正な競争条件の確保」に関し、かんぽ生命に対する間接的な政府出資が残る中、国営事業であったことに伴う信用力や政府支援への期待感といった長年に亘る消費者の認識が直ちに改められるとは言い難く、販売開始後には民間生保各社への影響が生じかねないものと考えております。この点、郵政民営化委員会の考え方として、「その実施については問題ないと考えられる」としつつも、併せて「業務開始後においても、適切な確認・検証等を行う場合に備え、かんぽ生命においては、本件新規業務に関する年間販売状況を当委員会に報告していただく必要があると考える」「当委員会としては、かんぽ生命の新規業務の実施状況を踏まえながら、必要があれば、当委員会において確認や検証等を行うことについて検討して参りたい」との見解が示されたことは、当会の意見を一定踏まえていただいたものと受け止めており、是非とも業務開始後の継続的な検証等をお願いしたいと存じます。

また、当会としては、かんぽ生命の完全民営化に向けた道筋が未だ明らかにされていない中、届出制に移行したことを契機に、今後も様々な新規業務を実施されていくことには懸念を有しており、今後の新規業務の届出に際しても幅広く調査審議や外部からの意見聴取を実施いただくことを改めて要望いたします。