株式会社かんぽ生命保険の新規業務の届出について
2022年6月28日
一般社団法人 生命保険協会
会長 高田 幸徳
本年6月16日、株式会社かんぽ生命保険(以下、かんぽ生命)が新規業務「契約更新制度の導入等」について届出・公表を行い、6月27日、郵政民営化委員会において「調査審議を行う必要はなくその実施についても問題ない」旨の見解が示されたことを踏まえ、改めて郵政民営化に関する当会の基本認識を表明いたします。
これまで当会は、かんぽ生命と民間生命保険会社の共存共栄による健全な生命保険市場の発展を実現し、もって国民生活の向上に寄与する観点から、以下のとおり、日本郵政グループと民間生命保険会社の提携の推進や、かんぽ生命株式の完全売却による「公正な競争条件の確保」等を郵政民営化のあるべき姿として提示してまいりました。
- (1)日本郵政グループと民間生命保険会社が双方の強み・特徴を認識し、適切に補完しあうことが重要
- 日本郵政グループの強みは、約2万4千局の郵便局ネットワーク・消費者との密接な接点等であり、かんぽ生命の商品は、簡易な手続きで一定範囲の保障を確保できる特徴を有している。
- 日本郵政グループの企業価値向上に向けては、民間生命保険会社が多くの年月やコストをかけて築き上げてきた商品やインフラ等を活用することが合理的であり、国民経済的な観点からも望ましい。
- 既に様々な取組み・検討が進められている民間生命保険会社との提携関係を進展させていくことが重要。
- (2)かんぽ生命の業務範囲の拡大にあたっては、株式完全売却を通じた公正な競争条件の確保、業務内容に応じた適切な態勢整備が必要
- かんぽ生命に対する実質的な政府出資が存在し、また完全民営化に向けた道筋も示されていない現状では、民間生命保険会社との「公正な競争条件の確保」が実現しているとは言えず、業務範囲を拡大する環境は未だ整っていない。
- 業務範囲の拡大にあたっては、上記、公正な競争条件の確保に加え、拡大する業務の内容や規模に応じた「適切な態勢整備」が必要。
昨年、日本郵政株式会社(以下、日本郵政)によるかんぽ生命株式の保有割合(議決権比率)が50%未満となったことを受けて、かんぽ生命の新規業務に係る郵政民営化法上の上乗せ規制の緩和(認可制から「届出制」への移行)が行われております。しかしながら、現在の保有割合は49.9%と株式完全売却には道半ばの段階に留まっており、また、日本郵政はグループ一体となった取組みによりグループ内の連携維持・強化を図ることを掲げている一方、株式完全売却に向けた道筋は未だ明らかにされておりません。
こうした中、当会としては、届出制に移行したことを契機に、かんぽ生命において様々な新規業務が実施されていくことには懸念を有しておりましたが、本年4月販売開始の「医療特約の改定等」に加え、10月以降には「契約更新制度の導入等」が立て続けに実施されることとなり、当会の懸念事項が顕在化したものと大変憂慮しております。
改めて当会として、今後のかんぽ生命における新規業務の活発化への懸念を表明するとともに、民間生命保険会社との「公正な競争条件の確保」の実現に向けて、2007年の郵政民営化から15年が経過しつつある今、日本郵政が保有するかんぽ生命株式の完全売却に向けた道筋が早期に示され、着実に実行されることを強く要望いたします。
以 上
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- 公的年金制度(老齢年金制度)
- 生命保険の引受・支払実務における遺伝情報の取扱いについて
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- 非居住者に係る金融口座情報の自動的交換のための報告制度
- 番号制度を通じた生命保険事業におけるICTの利活用について
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- 人生100年時代における生命保険業界の役割に係る報告書
- 生命保険協会「ビジネスコンテスト発表会」を開催