生命保険会社の資産運用を通じた 「株式市場の活性化」と「持続可能な社会の実現」に向けた取組みについて

2023年4月21日

2023年4月21日

生命保険協会(会長:稲垣 精二 第一生命保険会長、以下「当会」)は、株主・投資家の立場から、企業価値向上に向けた取組みとして、株式市場活性化と持続可能な社会の実現を企図した2022年の活動内容等につき、企業(上場企業1200社)および投資家(生命保険会社等の機関投資家208社)に対してアンケートを実施しました。今般、当該アンケートに基づき、提言をとりまとめた報告書を作成しましたのでお知らせします。

なお、本取組みは、1974年度より49年間に亘り毎年実施しています。

2022年度の報告書では、2021年度から提言④および提言⑪の内容を変更し、提言③に関する分析内容を充実させています。

1、経営戦略と連動した人的資本、知的財産への投資を含む中長期的な投資戦略の情報開示・対話充実(報告書P7 提言④)
  • 中長期的な投資・財務戦略において、企業は「設備投資」を重視する一方、投資家は「人材投資」 を最も重視
  • 政府が推進する人的資本経営の実現に向け、企業・投資家ともに「経営戦略と人材戦略を連動させる取組」を重視
2、気候変動に伴う影響に関する企業の情報開示充実、投資家による企業評価等への情報活用の促進、温室効果ガス削減目標の策定検討(報告書P15 提言⑪)
  • TCFD提言に基づく気候変動関連情報の開示を行う企業は70%と昨年度の34%から大きく改善
  • 他方、TCFD提言に基づく気候変動関連情報を企業評価や対話活動において活用している投資家は39%に留まる
3、社外取締役に期待する役割・実績についての情報開示充実(報告書P6 提言③)
  • 社外取締役の機能発揮状況について、全体および多くの個別項目で、企業・投資家の認識に乖離
  • 投資家は社外取締役と接する機会が少なく、評価が低めとなっている可能性もあり、投資家が社外取締役に期待する役割・実績に関する企業の情報開示充実、対話等を通じた投資家への丁寧な説明など、企業・投資家間のコミュニケーションが必要

当会では、国連の持続可能な開発目標であるSDGsの達成を意識し、生命保険会社の投資家としての役割を一層発揮するため、ESG投融資やスチュワードシップ活動の取組みを積極的に推進しています。

本報告書を通じて、日本の株式市場の更なる発展と、持続可能な社会の実現に向けた企業、投資家等による取組みが進展し、SDGs達成に向けた日本全体の取組みが加速する一助になることを期待します。当会としても、ESG投融資やスチュワードシップ活動の継続・強化などを通じて、社会課題の解決に貢献していきます。

<2022年度の提言まとめ>

提言内容 提言先
経営目標/財務戦略
  1. 中長期的な株主還元拡大(配当性向30%以上)
企業
  1. 資本コストを踏まえたROEの目標設定と水準向上
企業
ガバナンスの向上
  1. 社外取締役に期待する役割・実績についての情報開示充実
企業
対話の質の向上
  1. 経営戦略と連動した人的資本、知的財産への投資を含む中長期的な投資戦略の情報開示・対話充実
企業
  1. 経営層による対話への関与推進
企業
  1. 企業に対する深い理解に基づく対話、企業の課題解決に資する中長期視点での対話を推進
投資家
議決権行使
  1. 反対比率が高い議案に対する説明充実
企業
  1. 議決権行使プロセスの透明性向上
投資家
ESG取組促進
  1. 統合報告書等を通じた、ESGを含む非財務情報の更なる開示
企業
  1. ESG取組を含む、持続的な成長を実現するための中期経営計画の策定
企業
  1. 気候変動に伴う影響に関する企業の情報開示充実及び投資家による企業評価等への情報活用の促進、企業・投資家双方の温室効果ガス削減目標の策定検討
企業
投資家
  1. 省庁横断的なESG取組促進策の打ち出し
政府
  1. カーボンニュートラルの実現に向けた、政策的な支援の更なる拡充
政府

以 上

<報告書>

統合版PDF

  1. 生命保険会社の資産運用を通じた「株式市場の活性化」と「持続可能な社会の実現」に向けた取組について
  2. 提言レポート

    提言レポート(英語版)
  3. 企業価値向上に向けた取り組みに関するアンケート
  4. 企業向けアンケート集計結果

    投資家向けアンケート集計結果

    企業・投資家の結果比較

以 上