生命保険協会SDGsシンポジウムをYouTubeライブ配信~持続可能な社会の実現に向けた生命保険業界の役割について議論~ (2022.3.4)

生命保険協会(会長:高田幸徳 住友生命保険社長)では、生命保険業界全体のSDGs達成に向けた取組みを推進する一環として、"人生100年時代における健康寿命の延伸"と"サステナブルファイナンス(ESG投融資)において生命保険会社に期待される役割と今後の展望"をテーマとした「SDGsシンポジウム」を3月4日(金)に開催し、当会YouTubeチャンネルにてライブ配信を行いました。


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開会挨拶

生命保険協会 会長 高田 幸徳

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開会にあたり、当会会長の高田から「様々な視点で社会課題を解決し、包摂的で持続可能な社会を実現するために、2030年という長期的な目線で定められた目標であるSDGsは、私たち生命保険会社にとって、お客さまの人生に長く寄り添い、不測の事態に備える、といった「生命保険の理念」と、通じるところがある」との考えを示し、本シンポジウムのテーマである「人生100年時代における健康寿命の延伸」および「サステナブルファイナンス(ESG投融資)において生命保険会社に期待される役割と今後の展望」について、様々な観点から最新の情報を持ち寄り、共有・議論することで、保険業界におけるSDGsの推進に向けた議論が一層深まり、今後の更なる取組みに繋がっていくことを期待する」との挨拶を行いました。


動画はYouTubeにて視聴いただけます 生命保険協会SDGsシンポジウム(1/8) 開会挨拶 協会長

来賓挨拶

金融庁 長官 中島 淳一氏

※ビデオメッセージ出演

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続いて、来賓の金融庁 中島長官から、ビデオメッセージを通じて、第一部のテーマである人生100年時代における健康寿命の延伸への取組みについては、「最新の知見をもとに活発な議論を交わしていただき、顧客ニーズの変化に応じた生命保険各社の商品・サービスの取組みにつなげていただきたい」と期待が示されるとともに、第二部のテーマであるサステナブルファイナンスに関連した「国際的な動向」および「金融庁におけるカーボンニュートラルへの取組み」についてご紹介がありました。その上で、「市場の健全な機能発揮を通じて持続可能な社会と成長を支えていくための枠組みづくりを、今後とも推進していきたい。本シンポジウムが持続可能な社会の形成に大きく貢献していくことを期待する」とご挨拶をいただきました。


動画はYouTubeにて視聴いただけます 生命保険協会SDGsシンポジウム(2/8) 来賓挨拶 金融庁長官


 第1部 

 人生100年時代における健康寿命の延伸

基調講演①「SDGs達成のための身体活動・運動」

早稲田大学 スポーツ科学学術院 教授 宮地 元彦 氏

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第一部の冒頭では、早稲田大学 スポーツ科学学術院 教授 宮地 元彦 氏から、基調講演①「SDGs達成のための身体活動・運動」において、身体活動・運動・スポーツとSDGsの関係について説明があり、「人が体を動かすことを総じて「身体活動」と言い、国際比較で見ると、日本人は世界で最も活動的であることが示されている一方で、身体活動・運動不足は日本人にとって3番目に高い死亡原因となっており、加えて、近年、日本人の身体活動・運動不足が徐々に進行している傾向が見られる。また、体育・身体活動・スポーツは子どもの発育・発達に有用であるものの、日本では子供が体育やスポーツに取り組む上での環境は決して良好と言えず、様々な問題が顕在化しているのではないか」との指摘がありました。その上で、こうした課題の解決に向け「SDGs達成のために、健康作りや教育等の外在的な価値だけでなく、個々人における「心からスポーツを楽しみたい」といった内在的価値や普遍的価値に基づいて身体活動・運動・スポーツを普及・啓発していきたい」との説明がありました。


動画はYouTubeにて視聴いただけます 生命保険協会SDGsシンポジウム(3/8) 基調講演① 宮地 元彦 氏

基調講演②「人生100年時代を元気で乗り切るために-健康長寿 鍵は“フレイル予防”-」

東京大学 高齢社会総合研究機構(IOG)機構長・教授

未来ビジョン研究センター(IFI) 教授 飯島 勝矢 氏

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続いて、東京大学 高齢社会総合研究機構(IOG)機構長・教授、未来ビジョン研究センター(IFI) 教授 飯島 勝矢 氏から、基調講演②「人生100年時代を元気で乗り切るために-健康長寿 鍵は“フレイル予防”-」において、「フレイルとは、加齢により体力や気力が弱まっている状態のことで、特に予防意識を高めるために命名されたものであり、①中間の時期(要介護へ移行する中間の段階)、②多面的(色々な側面の衰えが負の連鎖)、③可逆性(様々な機能をまだ戻せる時期)という3つの特徴がある。フレイル予防には、加齢により徐々に筋肉が衰えるサルコペニア(筋肉減弱症)を予防すること、および「栄養」「身体活動」「社会参加」の3つの柱を三位一体として行うことが重要で、多くの国民が理解はしているものの具体的な行動に結びついていないため、それに新しい価値を感じてもらいながら、継続的に健康寿命の延伸に繋がる活動を促していくことが重要であり、地域のあり方の観点からも取組みを行う必要がある。今後は、行政事業だけでなく、住民活力を奨励しながら、産学官民の連携の中で街づくりを行っていきたい。『個人』に新しい価値に気づいていただき、意識変容・行動変容につなげることに加えて、産学官民で地域社会のあり方・環境の実現についても考えていく必要がある」との説明がありました。


動画はYouTubeにて視聴いただけます 生命保険協会SDGsシンポジウム(4/8) 基調講演② 飯島 勝矢 氏

パネルディスカッション
ファシリテーター フリーアナウンサー 魚住 りえ 氏

パネリスト
早稲田大学 スポーツ科学学術院 教授 宮地 元彦 氏
東京大学 高齢社会総合研究機構(IOG)機構長・教授
未来ビジョン研究センター(IFI) 教授 飯島 勝矢 氏

介護福祉士/モデル
白梅学園大学嘱託研究員/非常勤講師 上条 百里奈 氏
生命保険協会 副会長 金井 洋

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引き続き、モデレーターに魚住 りえ 氏、パネリストに宮地 元彦 氏、飯島 勝矢 氏、上条 百里奈 氏を迎え、当会副会長の金井 洋と共にパネルディスカッションを行いました。

宮地氏からは「今ではウェアラブルデバイスやスマホ等があれば歩数を確認できるので、そこから気づきを得ることが身体活動の奨励には有効。運動などを義務的に行っても続かないので「心からやりたい」と思う内発的動機とやりたいことを実現できる環境が重要。生命保険会社が顧客の健康増進を促すことは、会社・加入者・社会ともにWIN-WINの関係にあるため、健康増進型保険の仕組みや各社がこの分野に積極的に取り組んでいる状況は歓迎すべきものだと考えている」との話がありました。

飯島氏からは「運動しないといけないという意識はあっても行動につながらないことが課題であり、それを打破するような新しい価値の提供が必要。また、意識的な取り組みだけでなく、集まって活動していたら自然と健康増進につながっているような「ゼロ次予防」の環境を整備することも重要。生命保険については「いざという時の備え」という固定観念から脱却し、加入者と一緒に伴走して脱線しかけた際に横からサポートする取り組みが進んできているので、更に異業種ともコラボレーションして企業・顧客・地域とのネットワークを広げつつ、個々人にあったパーソナライズ化の取組みに期待したい」との話がありました。

上条氏からは「介護は決して⾼齢者だけの問題ではなく、若いうちから⾃分、そして⼤切なご家族の健康を意識していくことが⼤切。特別な運動やリハビリを⾏うというより、日常的な⽣活を諦めないことを⼤切にしており、⾼齢者の健康のカギは、「⾼齢者を支えるのための介護」ではなく「⾼齢者が地域に貢献することを通じた介護」にあるのではないかと考えている。介護現場では民間の保険サービスによる保障がWell-beingの実現に役に立っており、今後は、現場のことも知っていただくことで、見守りサービスの強化・イベント支援など、デジタルだけではすくいきれない工夫や健康改善につながる知見を提供いただけるとありがたい」との話がありました。

当会副会長の金井からは、生命保険業界におけるSDGsに関連した取組みについて説明があるとともに、第1部のテーマである「健康増進」「高齢社会」に関連した取組みについて説明しました。また、各パネリストからのコメントを受け「お客様が真に必要としているものを理解し、的確にサポートしていくためのキーワードは、「個別性」「多様性」そして「連繋性」だと思う。⼈と⼈との関係にデジタルが加わることによって、より太く強固なものに発展する可能性を有しており、デジタルを介してのコミュニケーションでは特に個別性に配慮することが必要。⼈とデジタルのハイブリッドな形で、お客さまがよりよく⽣きる、⼈⽣を幸せに送られること、即ちお客様のWell-beingのお⼿伝いをしていく」と総括しました。


動画はYouTubeにて視聴いただけます 生命保険協会SDGsシンポジウム(5/8) パネルディスカッション


 第2部 

 サステナブルファイナンス(ESG投融資)において
 生命保険会社に期待される役割と今後の展望

業界の取組紹介

生命保険協会 財務委員会 委員長 飯田 貴史

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第二部の冒頭では、当会財務委員会委員長の飯田より「生命保険会社の資産運用におけるサステナブル・ファイナンス(ESG投融資)への取組み」として、「生命保険会社は、従来も資産運用を通じて経済成長に貢献してきたが、現在ではサステナブル・ファイナンス(ESG投融資)は資産運用の中核になっている。当会では、1974年から50年近くに亘り、株主・投資家の立場から、企業価値向上に向けた取組みについて提言活動を実施しており、近年では、ワーキンググループを設置し、参加各社の取組み・態勢の高度化推進や、協働エンゲージメント等を行っている。また、当会の気候変動関連の取組みとして、気候変動が企業にもたらす影響の把握・情報開示を推奨するTCFD提言に賛同(2019年4月)し、生命保険業界の気候変動対応の底上げを図るべく、会員各社向けに気候変動関連のハンドブックを作成・提供している」ことを紹介しました。


動画はYouTubeにて視聴いただけます 生命保険協会SDGsシンポジウム(6/8) 業界の取組紹介 飯田財務委員長


特別講演

金融庁 チーフ・サステナブルファイナンス・オフィサー

兼 監督局保険課長 池田 賢志 氏

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続いて、金融庁 チーフ・サステナブルファイナンス・オフィサー 兼 監督局保険課長 池田 賢志 氏から、特別講演「サステナブルファイナンスに関する国際的な議論と金融庁の取組み」において、SDGsについて「海外の概念を形式的に取り入れるだけではなく、日本人としてSDGsとは何か、どのような取組みに意義があるのかという点を深く考える必要があるのではないか。SDGsを自社の血肉として取り込むためにどうしたら良いのか深く考え、それを言葉・物語(ナラティブ)にして、個人・企業を超えて様々な主体と相違する考えをすり合わせながらパートナーシップを組むとともに、自社における普遍的正義は何かを考えていくことが重要である」との説明がありました。

またサステナブルファイナンスについては、「インパクト評価の領域である「企業から社会への影響」とリスク・リターン評価の領域である「社会から企業への影響」の両面が重なる部分にCSV(共通価値の創造)の実現が可能となる領域があり、その基盤の構築が大きな課題である」との指摘があり、最後に、生命保険会社に対して「CSVの可能性を追求し、実現したものを世界に発信することで、今後、SDGsが更新されていくプロセスの中で、有益な知識創造をしてほしい」との期待が示されました。


動画はYouTubeにて視聴いただけます 生命保険協会SDGsシンポジウム(7/8) 特別講演 金融庁・池田CSFO


閉会挨拶

生命保険協会 副会長 佐々木 豊成

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閉会に当たり、当会副会長の佐々木より、閉会の挨拶を行いました。本シンポジウムのテーマである「人生100年時代における健康増進」と「サステナブルファイナンス」は、「いずれも生命保険業界にとって大変重要なテーマであり、長期的な目線で腰を据えて取り組んでいかなければならない」と総括し、「やがて訪れるコロナ禍を克服した新しい時代において、「健康増進」と「サステナビリティ」は、生命保険業界だけでなく、社会全体で取り組んでいかなければならない大きな課題である」と結びました。


動画はYouTubeにて視聴いただけます 生命保険協会SDGsシンポジウム(8/8) 閉会挨拶 佐々木副会長