「生命保険協会創立110周年記念式典」を開催 (2019.2.25)

一般社団法人生命保険協会(会長:稲垣精二 第一生命保険社長)は、2018年12月7日に創立110周年を迎えたことを記念して、2019年2月25日(月)にイイノホール(東京都千代田区内幸町2-1-1)にて「生命保険協会創立110周年記念式典」を開催しました。

人口減少や少子高齢化の進行、人生100年時代とも言われる長寿社会の到来や、テクノロジーの飛躍的な進歩等により、生活環境や働き方、生き方が変化、多様化しています。こうした環境を踏まえ、本式典では、自助努力を後押しする金融リテラシー教育の推進、社会保障制度の一翼を担う社会基盤として人生100年時代を安心して暮らしていける社会の構築への貢献、スマート社会における生命保険の役割等について議論を行いました。

主催挨拶(生命保険協会 会長 稲垣 精二)

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会長の稲垣より、「創立100周年以降の10年間には、東日本大震災に代表される多くの自然災害が発生し、生命保険業界の役割を改めて強く感じさせられた。 人生100年時代の到来やテクノロジーの飛躍的な進歩といった大きな変革の中で、生命保険業界としてさらなる役割を発揮していくためには『3つのP』が必要である。本式典では、その点について議論を深め、明るい未来を切り開くきっかけにしたい」と挨拶しました。

来賓挨拶(金融庁 長官 遠藤 俊英氏)

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来賓の金融庁遠藤長官より、「長寿化・高齢化やライフスタイルの変化等、生命保険事業を取り巻く環境はさまざまに変化している。生命保険各社が経営環境の変化に対応し、顧客本位の業務運営を追求し持続可能なビジネスモデルを構築していくこと、また、国民の金融リテラシーの向上や健康増進を後押しする商品やサービスの提供といった独自性をさらに発揮することを期待している」とご挨拶をいただきました。

金融リテラシー教育等の推進に係る取組みの紹介(生命保険協会 副会長 木村 博紀)

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副会長の木村より、Preparedness(心構え)の観点から、金融リテラシー教育等の推進に係る取組みについて紹介し、「生命保険協会は、これまでの取組みを一層充実させ、人生100年時代に重要性が増している自助努力の支援・促進に積極的に取り組んでいきたい。その一環として、記念日『自助の日』(毎年5月28日)を創設するとともに、新しい教材として教育動画コンテンツ『ライフプランのいろいろ』を公開した。本教材は保険にとどまらず幅広い金融リテラシーをテーマとし、気軽に楽しめる内容となっている。これからも業界一丸となって金融リテラシー教育を推進していきたい」と述べました。

パネルディスカッション 第Ⅰ部 「医療介護分野における国民と生命保険の将来」

【パネリスト】
 厚生労働省 参事官(社会保障担当) 榎本 健太郎氏
 慶應義塾大学 医学部医療政策・管理学教室教授 宮田 裕章氏
 生命保険協会 副会長 佐々木 豊成
  【モデレーター】
 フリーアナウンサー 魚住 りえ氏


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副会長の佐々木より、社会保障制度の動向と生命保険の役割の発揮の関係について紹介し、「生命保険のProtection(保障)はその範囲を大きく広げている。介護・健康増進が課題となる今後は、課題解決につながる商品・サービスの提供が求められる。また、Prevention(予防)について、現在ではさまざまな保険会社が健康づくりを支援する商品やサービスを通じて健康づくりの意識を高める工夫をしている。加えて、疾病予防や健康増進のきっかけづくりとその維持に最も効果的な手段としては、人によるつながりが大事である。この点で、地域に根差したチャネルを持ち、お客さまのライフプランを十分に理解している生命保険会社は、貢献できる領域が非常に広いと考えている」と述べました。


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続いて、榎本参事官より、社会保障制度が向かう方向性について「『多様な就労・社会参加』『健康寿命の延伸』『医療・福祉サービス改革』『給付と負担のバランス』という4つの柱で検討を進め、誰もがより長く元気に活躍できる社会の実現を目指すことを考えていきたい」とご発言いただきました。


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また、宮田教授より、「情報社会の次は創造社会と言われている。世界では、データによって新しい価値が生まれており、一方、日本において、人口減少、超高齢社会、少子化、経済成長の鈍化という厳しい現状に対し、どのように新しい価値をつくっていくか。そこで、一人ひとりの人生に寄り添いながら新しい生き方を提案することができる最も重要な業界の一つが生命保険業界であり、新しい産業につながる強みを持っている」とご発言いただきました。

最後に、副会長の佐々木より、「産・官・学、それぞれの知恵を絞り、その知見を共有する協力体制を築いていくことが不可欠である」と総括しました。

パネルディスカッション 第Ⅱ部 「Society5.0における生命保険の役割」

【パネリスト】
 総務省 情報流通高度化推進室 室長 飯村 由香理氏
 サステナビリティ消費者会議 代表 古谷 由紀子氏
 慶應義塾大学 医学部医療政策・管理学教室教授 宮田 裕章氏
 生命保険協会 副会長 小林 研一
  【モデレーター】
 フリーアナウンサー 魚住 りえ氏


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飯村室長より、「個人の医療・介護・健康データであるPHR(Personal Health Record)を活用したアプリケーションによって、様々なデータを時系列に一生涯管理し、活用することが可能になる。総務省では、疾病・介護予防や生活習慣病重症化予防等のPHRの具体的なサービスモデルを検討している。これらの検証結果を踏まえ、民間の事業者や自治体等を含めて、データを活用するときに必要なルール作りに取り組み、より健康であり続けることができる社会を構築したい」とご発言いただきました。


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続いて、副会長の小林より、「生命保険会社でのPHRの活用可能性としては、健康増進に向けたサービス、保険の引受手続き、給付金の請求手続きが考えられる。また、生命保険会社が保有するデータに公的機関等の外部データを組み合わせることで、より精緻な分析結果が導かれ、お客さま一人ひとりに寄り添った商品やサービスの提供が可能になると考えている。ビックデータとパーソナルデータを安全に活用していくことで、健康寿命の延伸や手続きの利便性向上による快適な社会の実現等、Society5.0において新しい価値を提供できると考えている」と述べました。

また、宮田教授より、海外におけるPHRの仕組みを活用した好事例をご紹介いただき、「PHRを軸にした情報連携を活用することによって新しい産業、価値が生まれていく」とご発言いただきました。


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さらに、古谷代表より、「企業・行政は、消費者が持つ、市場から影響を受ける側面と市場に影響を及ぼす側面の二つの側面を理解することが必要なのではないか」とご発言いただきました。

最後に、副会長の小林より、「生命保険会社がさまざまなデータを活用することによるメリットと課題が整理された。関係者の方々と一つひとつ課題を解決するとともに、お客さまの理解を得ながら、利活用を進めていくことが重要だ」と総括しました。

閉会挨拶(生命保険協会 副会長 清水 博)

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副会長の清水より、「私ども生命保険業界は、超高齢化と長寿化が進む中、お客さまや社会から期待される役割がますます大きくなっていることを自覚している。長期的視点に立った事業運営という本質を守りながら、時代の変化に応じた柔軟かつ機動的な対応を行っていきたい」と挨拶し、本式典を締めくくりました。