EAIC「東アジア保険の日」
EAIC(東アジア保険会議)は、10月18日を「東アジア保険の日」と定め、東アジア諸国の全保険業界の認知とイメージを高めるための周知活動を行っています。
2006年、ブルネイ・ダルサラーム国のバンダルスリブガワンで開催された第23回EAIC大会において、10月18日を「東アジア保険の日」とする「バンダルスリブガワン宣言」が採択されました。
EAICの各加盟都市は、地域横断的なプロモーションのために、各業界団体を中心に各国の状況に合わせた様々な取組みを行っています。生命保険協会としても、こうした取組みの一環として、EAICの活動状況についてご紹介いたします。また、EAIC事務局長のメッセージを掲載いたします。
<2006年 EAIC バンダルスリブガワン宣言> (2006年8月2日採択)
我々EAIC理事および各都市代表理事は、2004年のEAICバンコク宣言に従い、2006年に開催された第23回EAICバンダルスリブガワン大会において、2007年から毎年10月18日を各メンバー地域共通の「東アジア保険の日」として祝うことを決めた。この日は、1962年にEAICの第1回会合が東京で開催された象徴的な日である。
■EAICの活動状況
EAICは、1962年の第1回大会以来、隔年で大会を開催しており、2024年は香港において第30回大会が開催されました。
また、2026年には東京で大会が開催予定であり、保険業界一体となって開催に向けた準備を進めていく予定です。
■EAIC 田中事務局長のメッセージ
EAIC 田中事務局長

2024年の「東アジア保険の日」を迎えるにあたり、ご挨拶申し上げます。
「東アジア保険の日」は、2006年に開催されたEAIC(東アジア保険会議)第23回大会の理事会において、東アジア各国共通の保険制度を広くPRする日として制定されました。これ以来、各都市の状況に合わせて多様な啓発活動が展開されています。
これまでアジア各国では、マスコミを通じた保険制度の周知や大学での講義を通じて、保険リテラシー向上が地道に進められてきました。日本においても、国内外の業界紙へのコメント寄稿や、生命保険協会のホームページからのEAICに関する情報発信などが行われています。
EAICは、1962年から2年ごとに開催され、これまで東京、マニラ、バンコク、ソウル、台北、クアラルンプール、ジャカルタ、シンガポール、マカオ、バンダルスリブガワン、香港などを巡ってきました。コロナ禍の影響で、2018年以降は対面での開催が中断されていましたが、2024年9月24~27日に香港で第30回大会がついに開催されました。今回の香港大会には、アジアをはじめ、アメリカ、ヨーロッパ、中東、アフリカ、そして国連を含む1000名以上の参加者が集まり、32ヵ国・地域から多様な専門家が一堂に会しました。
香港大会を概観すると、会議の冒頭では、香港特別行政区政府の副財政長官であるMichael Wong Wai-lun, GBS, JP氏がスピーチを行いました。気候変動や経済の不確実性、テクノロジーの進歩などに対し、保険業界と協力して対応を進めたいとのメッセージがあり、官民一体となった発展への期待が感じられる内容でした。
その後、4日間にわたって、世界中から集まった保険監督者、生損保会社、再保険会社、生・損保・再保協会、ブローカー、コンサルティングファーム、デジタルテクノロジープロバイダーなどが参加し、マーケティング戦略、CX・DX(顧客体験とデジタルトランスフォーメーション)戦略、リクルーティング、アンダーライティング・保険金支払いサービス、保険リスク、サイバーリスク、スペシャルティ保険などについて、パネルディスカッションやスピーチが行われました。各国の最新の知見が共有され、活発な議論が繰り広げられました。
また、今回の会議では、EAICとして初めて国連を招致し、国連環境計画(UNEP)が主導する「Principles for Sustainable Insurance(PSI)」の責任者であるButch Bacani氏と、国連大学サステイナビリティ高等研究所(UNU-IAS)の山口しのぶ博士が講演を行いました。アジア地域は世界の温室効果ガス排出量の約50%を占めており、持続可能な未来のためには、地球環境や生物多様性の損失に関する問題意識を高めることが急務です。このような視点から、東アジアの保険業界が国連機関から直接、環境課題についての示唆を得る貴重な機会となりました。
会議のクロージングセレモニーでは、参加者によるネットワーキングや文化イベントが行われるとともに、2026年に開催される東京大会からのウェルカムメッセージが発信され、多くの参加者からの歓声の中で、長い会議が幕を閉じました。
この度の香港での経験を通じ、EAICが東アジアを中心に多くの保険業界関係者を結びつけ、官民の協力のもと60年以上にわたりネットワーキングと相互理解の場として大きな役割を果たしてきたことを改めて実感いたしました。また、気候変動やサイバーリスクなどの新たな社会課題に対する保険の重要性も強く感じております。
「東アジア保険の日」を通じて、各国における保険リテラシーの向上がアジア地域全体の発展に寄与することを心から願っております。そして、この日が東アジア各国・地域の保険業界で働く皆さまにとって、社会課題の解決に向けた保険の役割を改めて考えるきっかけとなることを期待しています。
(2024年10月)